樹上都市とは、森などのなかである程度密集して樹木の上に建てられた住居などが集まった集落を指します。都市といってもそれほど規模の大きなものではなく、数世帯から村や小さな街くらいのものが多いようです。
おもにエルフ族やドライアド族が築いた街として登場しますが、人間族のなかでもこうした住居を構える地域が少数ながら存在しています。その形態としてまず挙げられるのは、生きている木々の枝を土台として住居などが建てられ、それらが梯子や橋、渡り綱などで行き来できるように連結されたものです。
さらに、巨大な樹木の幹をくりぬいたなかに居住空間を設けてある集落もあります。この場合は、このような加工を行っても平気で生きている特別な木や、魔法によるものがほとんどです。すでに寿命を迎え、朽ちているはずの場所に、生前の姿を召喚されていたり、その樹上都市自体が、現世からずれた次元に存在しているなど、複雑な事情によって成り立っている場合もあります。
後者の形態でも別の木々との行き来ができるように連結されていたり、あるいは前者との組み合わされた集落もあるようです。
変わったところでは、樹木や蔦などが複雑に絡み合った柱によって、ひとつの街を支えるという形態の樹上都市もあります。極端なものでは空中庭園のように天高く伸びる植物の柱によって街が浮かんでいます。これは強大な魔法によるもので、残念ながら古代の遺物としてでしかなかなか目にする機会がないのが実情です。しかし、深い森の奥にはまだ機能している都市もまだ存在しているかもしれません。
こうした例外を除いて、遺跡として残ることが少ないため、探索の場として登場することはなく、冒険の途中で情報を得るために立ち寄る場としての印象が強いといえます。
樹上都市というものは、森の中で他の種族との接触を避け、できるだけ自然を破壊せずに暮らすためにつくられたものです。なかには地面から見上げるだけでは目立たないようになっている場合もあります。
森の民は来訪者を好まないと思いますが、もし訪れることがあれば、建物の土台となっている木々には丁寧に接しましょう。森の住人にとっては、木々は兄弟のような存在だということもあるからです。
樹上の集落は、外部の人間には多少は不便でしょうが、ぜひ一度は見ておきたいものでしょう。他の都市とは違う街のたたずまいは、美しい光景として旅の良き思い出として残るはずです。