武具屋とは、冒険者や傭兵に武器を売ることを生業とする商店です。モンスターが徘徊するとか、争いの火種がくすぶっているとか、あるいは冒険のネタが豊富な街では必ずみかけると思います。
利用者の数やその客層などにもよって、武器屋はいくつかのタイプが存在するようです。
自前の工房を持ち、そこで作られた製品を商品として陳列した店。これは、工房の主人が店を構えることもあれば、店主が職人を雇っている場合もあります。前者の場合はその主人が専門とする製品を並べているでしょう。
自前の工房は持たないが契約を結んでいる工房を抱えており、仕入れた商品を並べる店。これにも手広くやってる店もあれば、武器のみ、防具のみ、刀剣のみ、といった専門店もあります。
普段は包丁や農具といった生活用品を商いながら、かたわらで武器を取り扱う店もありますが、これは都市部よりも小さな町や在の村などで見かける形態です。まれに王都を追われた職人がいるなど、軽視できない場合もあります。
扱う商品は、鍛冶匠合や鍛冶職人組合といったものに所属している店を選べば、品質、値段の適正なものを手に入れることが出来るようです。
武器屋の扉を開けると、まずカウンターがあり、客の相手をする店番がいます。ここで注文を受け付けていたり、頼まれた品を奥から出してきてもらったりします。カウンターの周囲の壁に沿って様々な武器や防具が陳列されているでしょう。
店内にはそれらを身につけ、具合を確かめるための鏡も置いてあるかと思います。冒険者の中にはファッション性も大事にする者もいるでしょうし。
カウンターの奥を抜けるとそこは、職人たちが働く仕事場です。制作途中の武具が所狭しと置かれていたり、つり下げられています。炉の熱気や膠、油のにおいも十万四、客にとって快適とはいえないかもしれません。
こうした仕事場で、生活に必要な蹄鉄や鍋などを作っているような小さな店である場合は、別の場所から仕入れた武具を取り扱っているはずです。
さて、武具屋は武具を売るだけではありません。冒険者達が無茶な使い方をして痛んだ武具を修理するのも重要な仕事です。
ソードやアックスなどは重さで叩き斬る武器で、多少の刃こぼれは気にしませんが、それでも手入れは必要です。シミターやカタナといった鋭さが命である武器であればなおさらです。
そこで、冒険者達の多くが、街へ戻ったときにはこうした武具屋へ足を運び、武器や防具を整備してもらいます。その間の代用品として、代刀を貸してくれる店もあるようです。
あまり、冒険の舞台となるような場所ではありませんが、多くの商店と同様、なくてはならない存在といえるでしょう。