ファンタジー世界での神官とは、神社で働く神主さんのことではなく、 神殿や寺院などで神に仕える聖職者たちのことをさします。
彼らは、神の奇跡の代理人であり、その教えを広める役目をもっています。
自然信仰などに近いものをのぞいて、たいていは神殿などをかまえており、教団があり、 そして位という階級があります。
神官には、神々の力に由来した魔法を使うことができる者がいます。 神聖魔法などと呼ばれる術です。 これは神の存在を感じる事ができる、といった特別な才能が必要な場合もあります。
これは、ひとことで言えば癒しの魔法です。
肉体の傷を癒し、怒りや悲しみに支配された精神を癒す術を主とする魔法です。
もっとも直接的でわかりやすい奇跡といえます。
さらに、奇跡の使い手は、不浄なる者に対する術も心得ており、
蘇った死者や悪魔の類に対抗することができます。
また神官たちも、このような相手を浄化することは、善なる者の使命だと考えています。
ほとんどの神官が寺院などで俗世間から離れて修行を積みますが、 外界へ出る者も少なくありません。
布教のためであったり、困っている人々を救済するために旅立つこともあるわけです。
他にも聖遺物の探索や、自らの修行のため、といったところでしょうか。
そういった者たちを神官戦士といい、戦士としても鍛錬を行っていたり、魔術を修得していることがほとんどでしょう。 もちろん、神聖魔法の使えなくとも、信心深い戦士もいます。
神官は、信仰する神の教えに逆らうような事をしません。また、禁じられた行いを許しません。 正義が踏みにじられていると知れば、命をかけてこれを正すために行動するでしょう。 このあたりは、騎士と似ていると言えそうです。実際、聖騎士と呼ばれる者もいます。
ところで、神官たちの常識と世間の常識が一致しないこともしばしばあります。
たとえば、一般的には殺人や破壊行為は罰せられますが、対立する教団の神官を殺害したり、
寺院などを壊すことも自分たちの信仰の証である、と考える過激な者たちもいるわけです。
このような行いをしていると邪教と呼ばれるようになりますが、
どの教団においても似たような話は尽きないでしょう。
神官とは、どういった経緯によって就くのでしょう。
まず信心深い家に生まれ、学校で神学を修め、そして寺院に務め出す者が一般的でしょうか。 生まれながらにして、神の声を聞く子などは、寺院のなかでも特別な存在となるでしょう。
生死の境を彷徨った末に、神の存在を感じとり、寺院の門を叩いた者もいるかもしれません。 自然崇拝や、精霊信仰ならば、普段の暮らしの中で身近に触れ得ることもあります。
宗派や教典は違っていても、根底に流れている信心に違いはないようです。