カットラスは、幅広で短い刀身を備えた片手用の刀剣です。
18~19世紀ごろの船乗りたちが戦闘だけでなく、船上や船外での活動に好んで用いていました。海賊たちでおなじみの武器です。
湾曲した刀身の刃渡りは50~60cmほどで短く、身幅が他の刀剣に比べて広くなっています。また、柄にはサーベルなどと同じように、握った持ち手を保護するための護拳を備えているので、乱戦での斬り合いに適した構造と言えるでしょう。
ファンタジー世界では、カットラスはやはり、海賊をはじめとして船乗りたちの武器として登場することが多いようです。
幅広の湾曲した刃は断ち切りに適しているわけですが、戦いだけでなく、船上で炎上した帆を捨てるためや、敵船から投げられたロープや網を叩き切る場面をよく目にします。 しかし、主役を張るような武器でもない点も見逃せません。多くは、その他大勢の脇役の手の中にあり、ひとたびの冒険や戦闘などが終わればそれっきりです。おそらくは大量生産品なのでしょう。たとえ、大海賊の船長たちがもつカットラスであってもそのほとんどが特別な銘も魔力もありません。
頼もしくも陽気な船乗りたちとともにいくつもの荒波を越えてどこかをめざし、いずこかの海に散り、名を残すことなく、朽ちた船とともに沈んでいくのでしょうか。
自然の猛威のなかでは、一本の剣など取るに足らない小さな存在なのかもしれません。 カットラスもまた、過酷な冒険の世界を物語る武器のひとつといえそうです。