俺はあの竜の目を射抜いてみせよう

アーチャー

アーチャーとは、主力の兵器として弓矢を用いて戦う者を指します。多くの場合、弓矢の専門家として登場する職業ですが、戦士としてあらゆる武器の扱いに長けた上で弓を選ぶ者も含まれています。

彼らの戦法は離れた場所から、ときには姿を隠しながら、正確な射撃によって敵を仕留めていくというものです。そのためアーチャーたちは、他の戦士と違い、敵陣へ正面切って躍り込む、というような戦い方はしません。相手との距離があるうちこそ前面に立ちますが、接敵状態になれば乱戦に巻き込まれないように後方へ下がり、味方を支援することになります。

敵への先制打と仲間の援護が彼らの役割の中心となるのですが、これはどちらかというと軍隊のなかの弓兵の姿かもしれません。冒険者一行に加わる弓使いとしてはそれだけでは生き残れないからです。なにしろ、狭いダンジョン内や屋内での戦闘の機会が多く、その際、弓は文字通り無用の長物となり得ますから。

そこでアーチャーの多くが、ショートソードやダガー、ハンドアックスといった小型の予備の武器を携行し、防具に関してもレザーアーマーやリングメイルなど、動きを妨げず、しかしそこそこの防御力を備えるものを選び、様々な状況に対応できるようにしているようです。

こういった装備の選択は重要ですが、しかし、弓使いに必要なものは、何よりもまず並外れた集中力があげられます。

迫り来る敵に対して、次の矢をつがえる時間がいつでもあるとはかぎらないので、狙った獲物は確実に仕留めることが大切だからです。

それに標的の選定や、後退のタイミングを計るなどの判断力も備えてなくてはいけません。優柔不断では務まらない、という点では他の戦士と同様といえるでしょう。

さて、援護役としての立ち回りが多いアーチャーですが、ときにはたった一人で敵の大軍を引きうけることもあります。

何十本もの矢を地面に突き立てて、素早く、しかし精密な射撃によって敵を次々となぎ倒していく……アーチャーならではの見せ場のひとつです。もちろん、こんな芸当は伝説級の腕前を持つような者だけだとは思いますが、しかし、弓使いたる者、一度は立ってみたい大舞台といえるのではないでしょうか。

ところで、普通の戦士や冒険者も弓は扱えますが、弓使いとして専門職を名乗るのであれば習得しなければならない技があります。

それが、速射と曲射です。速射は素早く連続して矢を発射させる技術で、冒険の世界では敵と相対するときに距離があるとは限りませんので、ぜひ身につけたいところです。

一方の曲射ですが、これは軍隊に属する弓使いが訓練を課せられる必須技能です。山なりの軌道で多数の弓使いが一斉に矢を放ちます。一本の矢が狙う「点」を標的とするのではなく、複数の矢を一定の「面」に降らせるための射撃です。これは単独で点の標的を狙う場合にも障害物を避けて敵を射ることのできる技術でもあるので、冒険の際にも役に立つ技能といえるかもしれません。

冒険の世界で弓使いとして活躍するならば、弓や矢そのものを作る技術も習得しておいたほうが良いでしょう。現地で手に入る材料だけでそれらを作り出すことができれば、これほど心強いものはありません。なにより、長い旅のなかでも尽きることのない矢の援護は、仲間にとっても頼もしいはずです。


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