蛮族とは、統一された国などをもたず、辺境に部族単位などで暮らしている者たちを指します。野蛮で文明レベルの低い連中だと蔑まれていることもありますが、たいていは独自に洗練された文化をしっかりと育んでいるようです。
彼らの中には冒険者となって外の世界へ旅立つ者もいます。腕試しであったり、見聞を広めるためであったりと、理由は様々です。また、ほとんどが戦士である場合が多いようですが、呪術師や精霊使いの姿もあるようです。もっとも、学問としての魔術を心得ている者が登場することは滅多にありませんが、その代わり先祖伝来の強力な秘術を駆使することが多く見られます。
蛮族と呼ばれる人たちの生活は、商業的な要素を除けば、君主社会に属する一般人や村人などとほとんど変わることはありません。ただ、独自の掟や規律に従った暮らしのなかで、外の人間からは奇妙に思える風習などは存在するでしょう。
彼らの服装は、狩猟生活を基盤としているのならば動物の毛皮などを加工したもので、繊維を生産できるのならば布が使われます。それを染め上げたり、刺繍を施したりして装飾していることが多く、宝石や貴金属類はあまり身につけていません。しかし、その土地で豊富に採れるもののなかには、もしかしたら外の土地に住む者がうらやむほどのの高価なものが普及している可能性はあります。
住居としてはテントのような、簡単な構造のものもありますが、たいていはその土地ならではの建築材料と技術で家が建てられていることでしょう。
しばしば、英雄は蛮族と呼ばれる者たちの中から現れることもあります。過酷な運命を課せられることも多いのですが、持ち前の腕っ節とタフさを武器にそれをはね返し、やがて栄光を掴むわけです。
彼らはみな男女問わず、荒々しさの中にも優しさを秘めており、自分の過ちを素直に受け入れ、他者を称えられる器を示します。そのため、困難な旅においても、実に多くの仲間に恵まれることになるでしょう。また、彼らは自然を慈しむ心があり、自然に宿る精霊、霊といった存在に対しても畏敬の念を持ち合わせていることも多いようです。
都会の暮らししか知らない者たちにとっては、そういう部分が新鮮に、頼もしくみえるのかもしれません。
作品世界によっては、バーバリアン、というのは戦士系の職業として登場することもあります。騎士などと比べると攻撃力が勝っているが、高レベルの鎧を身につけることができない、というような制限が設けられている場合も見られます。実際、蛮族の戦士として登場する者は、物語の中でも防御面では軽装で、威力の高い武器を振る姿で描かれています。
過酷な運命に立ち向かう強さ、困難を打ち破る強靱さ、危機的状況の中で発揮される生命力などを特徴とする蛮族は、人間族の中でもなかば独立した種族としても扱われているといえます。ひょっとしたらそれは、神秘的なものや強いものへのあこがれを象徴した存在なのかもしれません。
コナンシリーズに登場する英雄コナン、ロードス島伝説の英雄ベルド、ファファード&グレイ・マウザーのファファードなどなど、まさに蛮族の戦士といった戦いぶりを見せてくれる彼らは決して野蛮というわけではなく、頭が良く機転も利き、芸術的なセンスもあり、そして、たとえ善人とは言えなくとも優れた人物として登場しています。