眼光一閃! あわれ、石となる冒険者

バシリスク

バシリスクとは、敵を石化する能力を持つ大きなトカゲのモンスターです。自然生物ではなく、魔術師が生み出した魔法生物であるといわれています。

体長は1~10mと遭遇した者の証言によって違いますが、足が8本であったり、頭に特徴的なトサカをもっているなど、一般のトカゲとは区別されているのは共通しています。冒険の途中で遭遇してもすぐにわかるでしょう。

また、体内に流れる血液には猛毒が含まれており、バシリスクが通った後を歩くことすら危険であるともいわれています。

しかし、もっとも危険なのはその視線でしょう。この視線にとらわれたものは、生物であろうと無生物であろうとたちまちのうちに石化してしまいます。バシリスクが標的に対して任意に石化させることができるのかどうかはわかりませんが、少なくとも攻撃手段のひとつであることは間違いないようです。

バシリスクが多く目撃されているのは主に地下迷宮内で、おそらく侵入者撃退用の罠としても放たれていると思われます。もともと石材で作られたダンジョンであれば石化の視線の影響も少なくて済み、破壊の痕跡も残さないので、たしかに適任かもしれません。何かの拍子に逃げ出したものが野生化したでしょうか、砂漠などの荒野に住み着いたバシリスクもいますが、こちらは旅人や隊商から恐れられるモンスターとして登場します。

さて、バシリスクとの戦闘はできれば避けたいものです。よほど大きな個体でもないかぎり、初動で後れをとることはないでしょうが、振り向けば石化、切りつければ猛毒、となれば苦戦は必至です。返り血を浴びずに瞬殺できる状況でなければ、気づかれないうちに遠くから攻撃するか、魔法で無力化するのが賢明でしょう。素早く動くモンスターではないのが救いです。

注意すべきは、目を閉じてもダメだった、視線ではなくバシリスクの吐息によって石化してしまった、といいう報告です。サイズや姿形、こうした能力の差など、まるで別のモンスターのようですが、バシリスクという生き物が魔法使いによる創造物だとすれば、多少の違いがあるのも当然と言えます。以前に戦ったことがあっても、決して油断しないようにしましょう。

バシリスクの伝承

名称はギリシア語で「小さな王」を意味する[basileus]に由来するそうです。バシリスク、またはバジリスクは雄鶏の産んだ卵をヘビやそれに類する生き物が孵化させて生まれると言われています。

また、同じ石化能力をもった怪物コカトリスと同一視されることも多いようですが、バシリスクはこれと雌雄の関係にあるという説もあります。


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