巨躯、豪腕の戦士

熊/ベア

ファンタジー世界でも魔獣や幻獣といった生物にはなかなかお目にかかれません。旅の途中で出会うモンスターのほとんどが、野生の動物たちです。テリトリーさえ冒さなければ戦闘に発展することはないのですが、いざ戦うとなると厄介な獣はたくさんいます。とは、そのなかでもとくに、下手をすると人死にが出かねないほどの強敵にもなり得る強力なモンスターといえます。

野獣としての熊の体長は1mから3mほどで、分厚い毛皮に覆われています。刃物で斬りつけても滑ってしまうことがあるようです。全体に筋肉質でがっちりとした体格をしています。どうやら視力は弱いようですが、そのかわりに嗅覚と聴覚が発達しており、また、顎も強力で大きな犬歯が目立ちます。

山岳地帯や森林に生息していますが、雪と氷に閉ざされた土地に住む種類もいるようです。普段は大人しく、人間を警戒していて自分から近寄ったりしないのは他の獣とさほど変わりません。ひどく腹を空かせているときや、子連れであるときに凶暴な面を覗かせるのもまた同じです。

皮は衣類や敷物に、内臓は薬に、肉は食材として売れることから獲物として狩ろうとする者がいるかもしれませんが、それ目当て立ち向かうのは専門の猟師に任せるほうが賢明です。

もし、一行の中に飛び道具や魔法を扱える者がいなければ、熊との戦いは厳しいものとなるでしょう。丸太のようにごつい前足を振り回しての一撃をまともに喰らえば、それだけで即死級の展開です。おまけに前足には鋭い爪があり、布や皮の鎧ならば簡単に引き裂いてしまいます。しかし、群れでいることはないので、それだけが救いかも知れません。

さて、絞め技の一種として知られている技にベアハッグというものがあり、別名「熊の抱擁」といいますが、対面した相手を抱き上げるように持ち上げ、胴回りを怪力によって締め上げていく技です。実際のクマによってこの技を喰らうと、かなりの筋力がないとふりほどくことはできません。正式にルール化されているゲームもあります。

熊はまた、信仰の対象となる動物でもあり、そのずんぐりむっくりとした容姿から愛される存在でもあります。山や森に暮らす人々にとっては身近な自然の脅威そのものであり、同じ地域で自然を生き抜く仲間なのかもしれません。

備考

現実世界で熊とばったり出会っても、死んだふりをしてしまうと、トドメの一撃をもらうだけだと言われています。かといって逃げようと背中を向けた瞬間、追いかけてくるクマからトドメの一撃をもらうだけだとも言われています。なにしろクマの走る速度は時速40~60㎞。下り坂が苦手だとか言われていますが、あてにはできません。木登りも得意でスルスルスルっとのぼってしまいます。それならば、と真っ向勝負を挑んでも力比べに負けて、トドメの一撃をもらって終わりです。

正面を向いたまま、クマが去るまでじっとしているか、後退するようにじわりじわりと立ち去るのが良いそうです。熊も本当は戦いたくありません。目を離さなければ、こちらの強さを測りきれず、襲ってこないと言われています。でも本当に一番なのは、こちらの存在を早めに知らせて、熊の方から立ち去れるようにすることでしょうね。そのための「熊鈴」などもありますので、そういったグッズを用意しておくと良いでしょう。

ファンタジー世界では冒険者たちもわざとおしゃべりをしたり、甲冑の音を立てたり、あるいは現実世界と同じように鈴を付けたりして、遭遇しないように工夫しているにちがいありません。そのかわり、野盗やゴブリンの群れに気づかれる可能性もありますが……


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