すさまじい威力を誇る斧

バルディッシュ

バルディッシュとは、長い刃渡りを持った戦斧です。ハルバードやグレイヴなどと同じ長柄武器に分類されることもありますが、やや短めの柄のものもあります。クレセント・アックスとも呼ばれており、高い攻撃力と汎用性を備えている点が特長です。

長いものでは使用者の背丈ほどの柄に、小剣ほどの長さをもった、幅の広い斧刃が取り付けられています。この形状を活かした使い方としては、他の長柄武器と同じようになぎ払うようにする攻撃方法があります。また、斧刃の先は尖らせてあることが多く、使い方によっては槍のように刺突攻撃も可能です。取り回しの違いこそありますが、柄の短いものでもそれらは変わりません。

そして、力任せに振り回し、叩きつければ、それをまともに喰らったものは、へたな鎧の防御力では防ぐことはできません。

様々な攻撃方法を選ぶことのできるこの武器は、とくに人間の戦士の間でよく見られます。柄の長いバルディッシュは衛兵や傭兵たちが、柄の短いものは騎兵が好んで用います。馬上から振り下ろされる一撃に敵兵も怯むでしょう。もちろん、長い方のバルディッシュを馬上で振るう屈強な戦士もいます。

弱点としては、バツグンの攻撃力を誇る反面、斧という形状であることで防御面には不安が残ります。柄が木製のものであればなおさらです。鍔などが備わっていないため、武器自体での防御には高い戦闘技術力が問われますし、両手で扱うことが多いことから盾も利用しにくいからです。もっとも、初撃さえ当ててしまえば、反撃がこない可能性も高いとは思いますが。

バルディッシュは製作に手間のかかるような複雑な武器ではないことから、駆け出しの冒険者であっても比較的入手しやすい武器です。柄の長さなどは自分の冒険スタイルに応じて選ぶと良いでしょう。長い冒険生活の相棒としても活躍するはずです。

しかし手に入りやすい一方で、魔法の品としてのバルディッシュはそれほど多くはありません。長柄武器全体に言えることですが、こうした武器は冒険者にとってはあまりポピュラーではないためか、特別な魔力が込められないようです。

バルディッシュは洗練された武器ではなく、どちらかというと無骨で粗野で、血なまぐさいイメージがつきまといますが、しかしそれだけ多くの戦場で活躍しているということです。戦士としてはこれほど頼もしいものはないのかもしれません。

備考

全長150cmから200cmほど。柄は木製または金属製でやや太めに作られており、そこへ緩やかに湾曲した60から80cmもの斧刃が刃は2箇所のソケット式、または貫通式で留められており、頑丈な構造をしています。

バルディッシュは16~18世紀頃、東ヨーロッパで用いられていました。歩兵の武器として、騎兵の武器として、また、銃の登場からは槍兵にも応用されるなど幅広く使われていたようです。

祭儀用のものなどの存在も含めて考えてみると、実践的な性能だけでなく、権威の象徴しての役割もあったことから、ちょうど西欧のハルバードのような扱いといえるでしょう。


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