神官の祈りが終わり、今や彼らは神と一体であった

ブレス

神と呼ばれる大いなる存在は、自分の信奉者を助けるために、様々な奇跡を起こします。しかし多くの場合、具体的で巨大な奇跡ではなく、ささやかな物事に影響するような小さな奇跡によって、信者の願いを間接的にかなえてやることを好むようです。

ブレスとは、信者のため、神の力が彼らや自分を助けるよう祈るための呪文になります。比較的初級の部類に属しており、神聖魔法の修行で一番最初に覚える魔法として扱われる場合も多いでしょう。

ブレスは比較的頻繁に登場します。作物の豊作を祈るとき、子どもの誕生を祝うとき、そして、冒険者にとってはお馴染みのものでは、戦いに赴く者たちの無事を願うときなどにかけられます。

戦いのためのブレスは、敵の刃が己の身をそれ、味方の武器がねらいを外れにくくなるよう、といった願いです。祝福を受けた者は、勇気づけられ、たとえ強大な敵に立ち向かうことになっても、恐れや迷いが小さくなります。神の存在を身近に感じとれるようになるかもしれません。

しかし、かといって祝福を受けた者の安全がそれだけで保証されるわけではなく、この場合、生き残るための、あるいは敵を打ち破るための努力を怠る者にはなんの効果ももたらさないでしょう。

呪文の発動は、神官の祈りの呪文に応えた神によって、神官もしくは彼の望む対象へ加護がもたらされることで発動します。対象者は、その神のよほどの敵対者でもないかぎり制限などはありません。他の宗派や信仰する神が違う者、あるいは神を信じない者に対しても効果を発揮します。もちろん、これは術の対象の話です。術者たる神官が、己が信仰していない他の神へ祝福の祈願を行ってもそれは成立しません。

魔法の体系によってはその神自身の応えではなく、その使いである神霊や神獣を通して奇跡を起こす仕組みもありますが、術の効果としてはだいたい似たようなものです。

さて、多神世界の場合はブレスとひとくちに言っても、様々なバリエーションが存在することもあります。商売の神や、農耕の神、戦神、終末神など、それぞれの分野と役割に応じた祝福というわけです。どのような祝福を受けることができるのか、神官によく確認しておきましょう。

なんでもかんでも神に頼るような行為は慎むべきですが、もし、大きな困難に立ち向かうときはきっとこの呪文が役に立つでしょう。恐れは消え、震えは止まり、勇気が希望が湧いてきます。偉大な神の力が支えてくれるのですから。


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