忠実にして堅牢なる下僕

ゴーレム

ゴーレムとは、魔法使いによって疑似生命を与えられた彫像のことです。基本的には術者か、主人と定められた者の命令に従う忠実な家来となります。

魔法使いの力量にもよりますが、簡単な命令を盲目的に従う程度の知能しか持ちません。たとえば、「ここを通ろうとする者を排除せよ」「この荷物を持ってついてこい」といった命令くらいは理解できますが、「○○村の××という男を殴ってこい」と命令されても、自分で○○村を探すことが出来ず、××という標的を探し出すことが出来ないわけです。しかしこれは、術者の力量によって在る程度の理解力を与えることはできるようです。

さて、ゴーレムとひとくちに言っても、様々な種類のものがあり、またそれはそれぞれ違う素材から造られます。そして、その材質によってゴーレムの基本的な性能が決まります。

たとえば鉄製。ゴーレムは彫像を魔力によって無理矢理に動かすので、鉄で造られたゴーレムはそれほど俊敏に動けません。しかし、金属製であることから非常に頑丈なので、よっぽどのことが内限り壊れることはないでしょう。もちろん、他の材質にも言えることですが、関節などの可動部を自在に動かせるような構造であれば、滑らかな動作を実現することは可能です。

木製ゴーレムは特別な魔法で保護しない限り、どうしても炎に弱くなります。その代わり、安価で造りやすいと言えるでしょうか。冒険者である魔法使いたちには簡易的な僕として活用する者もいます。

石を素材としたストーン・ゴーレムなどは比較的頻繁に登場し、多くの冒険者たちを苦しめています。鉄ほどではないものの、重く頑丈で打撃にも斬撃にも熱にも、さらには腐食にも強いからです。普通の石像としてのカモフラージュもたやすく、これはどちらかといえばダンジョンの守り手側の魔法使いが使役するパターンで見られます。おまけに材料が手に入りやすいので、数多く作ることが可能な種類といえるでしょう。

他にも泥のゴーレムや、新鮮な屍肉や骨を使ったゴーレムなども挙げられます。骸骨型のゴーレムなどもよく好まれるパターンです。

ゴーレムは敵として戦うには、融通も利かず、ほとんどが力ずくでの手段しか通用しない事が多いため、非常に厄介な怪物です。味方としては、やはり融通が利かず、ほとんどが力づくでの手段しか持ち合わせていません。有効に使役できるかどうか、それは術者の柔軟な発想にかかっていると言っても過言ではないでしょう。つまり、敵対する魔術師がゴーレムの使役に関しての手練れであれば、そのゴーレムとの戦いは苦しいものになるはずです。

悪用のおそれがあるため詳しくは書けませんが、現実世界でのゴーレムの作り方は以下の通りです。ユダヤ教に伝わる方法だそうです。

まず断食などいくつかの儀式を済ませ、泥土を練って人形を作ります。技術力があれば、大きなものや凝った造形で作ってみるのもいいでしょう。それが出来上がったら、ゴーレムを作成するための呪文を唱え「emeth」(『真理』を意味します)と書いた紙を貼り付けます。剥がれないように丁寧に貼りましょう。一応、これで完成です。

ゴーレムの運用には厳格なルールが定められていて、それが破られると呪術的な拘束力がほどけてしまい、ゴーレムは凶暴化します。やむを得ずゴーレムを破壊しなければならなくなったら、「emeth」と書いた文字のeを消し、「meth」(『死』を意味します)に変えてしまえば良いとされています。これで呪術的に魔力が変換され、ゴーレムは破壊されます。もっとも、凶暴化したゴーレムが大人しく触れさせてくれるかどうかは分かりませんが。

種別
モンスター
種族
魔法生命体/疑似生命体
出現頻度
下級ゴーレムなどを含めると頻繁
関連キーワード
エンチャンター

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