騎士とは、基本的に自称するだけでは成り立ちません。多くは誓いの儀式を経てはじめて任命されることとなります。任命するのは直接仕える君主や領主などです。
儀式はまず、自分の剣を鞘から抜き出し、主に預けることからはじまります。騎士となる者は跪きます。
主は剣を受け取り、騎士となる者の肩に剣の刃を置き、騎士叙任の宣言と騎士に与えられる誓いの文句を唱えます。それを唱え終わり、向けられた剣の刃に口づけをすることによって、先ほどの誓いが成立します。そして、そこにひとりの騎士が誕生するわけです。
細かな儀式の内容は地域によって違いはあるようです。
一般的には、こういった内容の文句が織り込まれているはずです。騎士任命の宣言には、騎士となる者の主の名の他に、信奉する神様の名前などが加わることもあります。これは、「神様=第三者の見届けによって騎士に任命しますよ」という意味があります。
叙任式は王宮の謁見の間や、こういった儀式のための部屋などで行われます。旅の途上などの場合は、そのときの状況によります。ですがどのような場合でも、そこに居合わせた人々はきっと新たな騎士の誕生を祝ってくれるはずです。成り上がり者の叙勲式ではもしかすると、内心穏やかでない者もいるでしょうが。
騎士にとっては、これ以外にも誓いを立てる機会が多くあります。仇を討つと決意するとき、困難な任務を覚悟するとき、何か重要な約束をするときなどです。
騎士が自ら誓いを破るということは、恥以外のなにものでもありません。誓いを守るためには、命さえも投げだす、それが騎士なのです。