騎兵の象徴

ランス

ランスとは、突撃する騎兵が用いる片手用の長い槍です。

形状は通常の槍と大きく違います。鋭い穂先を備えた三角錐か円錐形の柄が剣のブレードのように根元にむかって伸びており、拳を守るためのバンプレート(剣でいえば鍔)がつながっています。握り部分はくびれたようになっていて、片手が収まる程度です。後端には長い柄とバランスを取るための、長く大きなフルーティング(剣でいえば柄頭、ポンメル)がついています。

全長は3~4mほど、柄の根元の直径がだいたい15cmほどですが、ランスの形状によってまちまちです。また、もっと大げさに太いものもありますし、逆に、たわむほどに細長いものも登場することがあります。基本的には、ランスは他の武器と比べても非常に重い部類に入っています。

ランスを用いるのは、もっぱら騎兵ということになります。使い方は馬上にて小脇に抱え、相手に向かって疾駆し、その突進力をもって突き刺すものです。また、馬に限らず、竜や大型の鳥、トカゲなどの乗用動物にまたがる騎兵も用いています。

馬の体重を乗せた突撃戦法であり、この威力たるやすさまじく、並の人間の力と技量では受け止めることはできません。ひとたび命中すれば、盾も甲冑も貫かれ、致命傷となってしまいます。

欠点としては、突撃に特化しているため、他の使い方をしてもさほどの効果をあげることはできないでしょう。接近戦に使うにはランスは長すぎ、防御に用いるには重すぎるからです。

実戦用ではなく、練習用、競技用のランスには木製のものもあります。

ランスの起源となる武器はもっと軽く、歩兵も扱えるものでした。ですから、もう少し短めに、もう少し軽く、さらに握りも両手用に作れば徒下の兵や、冒険者にも扱える可能性はあります。馬はなくとも自分の足で走れば疑似突撃くらいならできますし、護拳が突いている分だけ普通の槍よりも防御もとりやすいはずです。

ゲームなどでは徒歩でも扱える武器にランスが登場することがありますが、もしかしたらこういった加工をしているのかもしれません。

魔法の力を帯びたランスも存在し、そのなかでもとくに重宝がられているのが聖なる槍、ホーリーランスと呼ばれる品です。聖騎士の武器として登場するこのランスは邪を払い、魔を退ける力をもち、悪魔や悪霊といった存在に対して高い威力を示します。篤い信仰に護られた騎兵、騎士の象徴とも言える武器です。もちろん、扱うのはそれに見合った技術と品格が必要となるでしょう。

種別
武具
種別
表記
長槍/騎兵槍
関連キーワード
ランシア/槍

 ↑