ひとくちに魔法と言っても、そこには様々な種類があります。魔法が登場する世界によっては、明確な区分がされていない場合もあり、ここに挙げるのはあくまでもひとつのパターンに過ぎません。ですが、魔法使いを志そうとするならば、一応覚えていても良いかと思います。
古くから、ときには神々の時代から伝わる魔法で、多くの場合、呪文の他に定められた手続きを必要とします(触媒や儀式など)。その力の源となるのは、術者自身や物質に宿る魔力、あるいは呪文そのものに込められた言葉に宿る魔力で、得られる効果も物質を変化・変換する類のものが豊富に揃っているようです。決して超能力的なものではなく、知識の積み重ねと研鑽によって会得する技であるため、学問としても扱われています。元素魔法、黒魔法、魔術ともいい、これを用いる者を一般的には魔術師と呼びます。
魔術はさらに細分化していることもあります。魔法の品を作り出したり、物質に魔力を与える付与魔術、死者を操り、死霊の力を利用する死霊魔術、異界の魔獣や精霊、悪魔などを呼び出して使役する召喚術……などなど。長い年月をかけて発展していくなかでそれぞれが専門化している場合もあります。
自然のなかに宿る精霊や、精霊界と交信する才能を持った者が扱う魔法で、この術者がいわゆる精霊使いです。この魔法の呪文というのは、精霊への呼びかけの言葉なので、たいていの場合、魔術のように形式化されてはいません。魔術における召喚術との違いは、彼らは精霊を下僕としてではなく、対等な友人として見ている点でしょう。もちろん、精霊王といった上位の存在に対しては信仰に近い敬意を払っています。
精霊魔法の発現にはふたつのパターンがあります。ひとつは精霊そのものを呼び出し、その精霊に魔法的手段をとらせるもの。もうひとつは、術者自身に精霊を憑依させることによってその精霊がもつ能力を使えるようにするものです。どちらのパターンで登場するにせよ、基本的には力を借りたい精霊が近くに宿っていなくてはなりません。
これは神々への祈りの力を源として奇跡を起こすもので、神官や僧侶といった者たちが使う魔法です。白魔法とも呼ばれることがあります。神聖魔法の呪文は、神への祈りの言葉であったり、形式化されている聖句などです。主として傷ついた仲間を癒したり、害ある脅威から身を守るための呪文が多いようですが、積極的に邪悪を滅ぼすためのものも存在します。
邪神に仕える神官も似たような魔法を使う場合がありますが、これは暗黒魔法などと呼ばれることもあるようですが、信仰する神への祈りと奇跡という点では同じです。また、神聖魔法、暗黒魔法ともに上位の存在である神への直接の祈りではなく、それらの下位の存在である、神霊あるいは聖霊と呼ばれるような存在を使役することもあります。これは精霊魔法と同じようなルールで用いられるようです。
その他、原始的な儀式などによって行う呪術や、呪符などマジックアイテムを用いる魔法、占術、仙術などがあります。音楽や歌に秘められた魔力を用いる魔曲や呪歌という魔法も存在します。
どのような魔法であれ、一朝一夕に身につけられるようなものではなく、それなりに長い修行期間が必要です。神秘の世界はどこまでも広く深く存在しているのです。