ほら、彼の歌声が聞こえるでしょう?

吟遊詩人

吟遊詩人とは、楽器を片手に叙事詩や叙情詩などを唄うことを生業とする芸人であり、あるいは芸術家です。

唄う題材は様々ありますが、古い英雄の物語や伝説や言い伝え、恋物語などが主な曲目となります。

多くの吟遊詩人は旅人でもあり、各地の出来事を見聞きしながら、それを唄として作り上げることもあるようです。吟遊詩人が多くの町や村で歓迎されるのは、そういった、ニュースの伝達者としての役割を持っているからかもしれません。冒険者のようなよそ者を嫌う土地であっても、吟遊詩人は比較的好意的に迎えられることが多いでしょう。

酒場に呼べば宴の席を盛り上げてくれますし、子供たちにはわくわくするような英雄譚を聞かせてくれます。酒場だけでなく、広場などでも一般人の娯楽として彼らの存在はとても重要です。

吟遊詩人の多くは前述したように、酒場や町の広場にあらわれては唄を披露してはその見返りとして“おひねり”をもらって金を稼ぎます。ときには何日間かの契約で店に雇われることもあるようです。有名な曲目のリクエストや、客からの大まかな注文によって演奏します。

吟遊詩人の腕、ときには顔立ちが良ければ、その評判を聞きつけた貴族の館や王宮などに呼ばれることもあるようです。そして、多くの者がこれを名誉なことだと考えています。

さて、吟遊詩人が奏でるのは普通の唄だけではありません。彼らは呪歌、呪曲と呼ばれる、魔力のこもった唄の使い手でもあります。

呪歌・呪曲には、つられて踊り出してしまうとか、聞いているうちに眠りこけてしまうといった、攻撃的ではないものの強力な効果を持つものも少なくありません。もっとも、複雑に組み合わされた旋律や和音、呪文にも似た歌詞によるものなので、その効果を発揮するまでにはあるていどの時間がかかる場合が多いようです。

冒険者として身につけている技能は、呪歌や呪曲だけではありません。吟遊詩人の中には、盗賊の腕を持つ者、剣士としての訓練を受けている者などが多くいます。優男が多いと思われがちですが、ある程度の危険を戦い抜けるだけの技量は持ち合わせていることでしょう。

しかしそれは、芸一本だけで食べていくことの難しさを表しているのかもしれません。

吟遊詩人をあらわす言葉の代表に『バード』というのものがありますが、これはもともとはケルト文化の中から生まれました。ドルイドと同じくケルト文化の間では、吟遊詩人は重要な立場でした。

ドルイドが自然の中から神の声を伝える神官だとすれば、吟遊詩人は、先祖たちが残した文化や知識を伝える語り部や教師といったところでしょう。

種別
職業
系統
旅人/魔術師/その他
別称
ミンストレル/バード
関連キーワード
バード/楽器

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