館とは、都市に住む貴族や大富豪の邸宅です。閑静な住宅街や城の周辺、小規模な町や村を統治する地方領主のものであれば小高い丘などで見ることができるでしょう。
敷地を囲むのは泥棒よけの高い塀や柵。門から広い庭を抜けると、石造りの二階建てとなっています。
一歩なかに入れば、そこは贅の限りを尽くしたような部屋が続きます。揃えられた調度品はどれもみな一級の品。床には異国から取り寄せた珍しい柄の絨毯が敷かれ、壁には見事な絵画が飾られています。絵をよく見れば、有名な画家のサインが入っていることでしょう。
大広間、応接間、客間、寝室、書斎、倉庫などはもちろん、隠し金庫に秘密の通路もひっそりと作られています。
母屋以外にも、庭園や菜園、厩舎や私兵の詰め所などを備えた大きな館もあります。
館に住むのは高貴な人間ばかりではありません。ときに廃墟としての館も登場することが多く、そこにいるのは亡国の貴族の霊などです。
たとえ死に絶えた館でなくとも、やはり大きな敷地の管理と維持は大変なようで、建物は立派なれど火の車がごろごろと回り続ける、貧乏貴族所帯の館も少なくありません。
冒険者の立場で館に用があるときというのは、館の住人から依頼を受けるか、潜入する場所として登場する場合でしょう。忍び込む、攻め込むとなると一筋縄ではいきません。
門は固く閉ざされ、敷地を囲む壁は高く、乗り越えるのも一苦労です。庭には番犬が周囲を警戒し、番兵や衛兵が守りを固めています。侵入者に気がつけばただちにかけつけるでしょう。また、建物に忍び込むことができてもやはり夜通し見回りをする者がいるはずです。もちろん、館の主に魔法の心得があるならば、おそらく魔法の罠や感知装置が配備されています。
あるいは、モンスターの群れの襲撃に対して立てこもったり、館の中の惨劇から逃れるために脱出をする場合などにも館はその大きな建物としての機能をいかんなく発揮します。
冒険者である限りは、館でのんびりと過ごすことはどうやら難しそうです。