盗賊ギルドとは、盗賊たちによる秘密結社です。多くの場合、ひとつの街や都市を勢力範囲としていて、その中で仕事をする盗賊たちはほぼ必ず加入しなくてはなりません。大きな都市では裏社会を牛耳る組織や、陰の政府として立ち回る姿もみられます。
組織としては、ギルドの長と幹部によって政策決定や裁判などの運営がなされ、情報収集や暗殺、乞食の統括など業務に応じた部門があり、それぞれに適した技能を持った人員が配属されて成り立っています。
盗賊ギルドの役割は、メンバーである盗賊たちの保護、支援と管理です。仕事をするための盗賊に情報を提供や、必要な道具や頭数の手配、官憲に追われたときには匿いもします。技術の伝授や盗品の鑑定や買い取りなど、盗賊活動には欠かせない存在です。その一方で、ギルドメンバーでない者が縄張り内で仕事をしたときやギルドの命令に背いた者は追求し、捕らえ、拷問をするなど厳しい態度を示します。しかし、他の街のギルドメンバーであれば、それが敵対している勢力でさえなければ、ある程度は自由に活動することができるようです。
ギルドではまた、配下の盗賊や乞食たち、ときには重要な組織などに潜入させたスパイなどから街のあらゆる噂を収集し整理しています。情報はギルドの政策や盗賊支援に活用されることもあれば、直接売買される商品としての価値もあります。それにはもちろん、冒険者にとって有用な遺跡の情報なども含まれているでしょう。
盗賊ギルドは保護料を納める商人や貴族に対しては手出しをせず、護衛などのために傭兵を派遣したり、ライバルを蹴落とすために協力もするなど利害をともにし、経済と政治にも関わっている場合が多くあるようです。ときには商売のための資金提供や街の治安維持を行うなど、街を裏から支配することも珍しくありません。知らず知らずのうちに盗賊ギルドと関係していることもあるでしょう。
さて、街で活動すれば盗賊ギルドの陰をそこかしこにみるわけですが、ギルドの本部や支部の所在についてはあまり知られていません。裏通りの酒場や商店などに偽装されていることが多いようですが、周囲をそれとなく見張りが目を光らせており、部外者が様子をうかがうことはできないでしょう。冒険の一行に盗賊がいないのであれば、所在すら明らかにならないことだと思います。さらには、中へ入ることはできてもギルドメンバーや盗賊同士の合図などがないかぎりは話を通すことも難しいはずです。
ギルドの建物の内部はギルド長の執務室や盗品の鑑定や保管を行う部屋、技術訓練室や、会議室、ひょっとすると地下牢や監禁室などもあるでしょう。また、もしものときのための秘密の脱出口も備えています。基本的にはこれらの設備そのものは普通の冒険者には縁遠い存在です。もちろん、盗賊ギルドもいくらかの役割をもって登場する場合は多くみられます。
まず、情報源として活躍です。前述したように、盗賊ギルドは街中の噂をあつめています。そのため、市街での冒険において、人や物を探す場合には最も頼りになる情報源となるはずです。もっとも、冒険者たちの交渉力や立ち回りによっては、有用な情報は得られず良いようにカモにされることも多いようですが……
つぎに冒険の依頼主としての役割も揚げられます。これはギルド内部のトラブル解決を外部の人間に依頼する正当なパターンもあれば、冒険者が縄張り内でトラブルを起こし、見逃してもらう代わりに厄介な仕事を押しつけられるパターンなどです。
冒険の舞台としては、ギルドに潜入して盗まれた品を探し出したり、誘拐された仲間や人質を救出したりするなどの場合に登場します。ダンジョンに巣くうモンスターを退治するのとは違い、悪辣なトラップや虚々実々の駆け引き、地道な捜査などがものをいうシティ・アドベンチャーのスリルを味わうことになるでしょう。
盗賊ギルドという存在自体は、冒険者稼業という荒々しくもいかがわしい生業にとってはなくてはならないものです。へたに関われば命を付け狙われたりもする恐ろしい組織ではありますが、冒険に行き詰まったときには突破口を開く鍵を見つけてくれる、ありがたい存在でもあります。うまく活用したいものです。