井戸とは、地下深く掘って地下水をくみ上げられるようにしたものです。平地では垂直に、帯水層まで掘るのが一般的です。
幅1~2mほどの穴があけられており、雨水が入らないよう、木や石の囲いや屋根が設けられています。雨水の心配がほとんどない地域などでは、この囲いなどは省かれていることもありますが、井戸であることが分かるような工夫がされているでしょう。さらに地下水をくみ上げるために、町中の井戸では釣瓶(つるべ)が設置されている場合がほとんどでしょう。
旅人にとって重要な水。街道にはところどころに井戸が掘られていることもあります。砂漠などの地域では、ほとんどの街道が井戸と井戸を結んだルートになっているはずです。しばしば、この貴重な井戸を巡って争いが発展することもあり、戦略上の重要な拠点として登場する機会もあるようです。
大切な水源となる井戸も、涸れることがあります。たいていは地殻変動や汲み上げすぎたために起こる、地下水の水位の低下が原因です。しかしまれに、水神の怒りを買ったとか、魔法による呪いだとか、そういった事件の匂いがするような原因の場合もあります。
井戸はまた、罠としても利用されることもあり、多くの冒険者を苦しめています。幻影による宝石がちらついていたり、水ではなく痺れ薬で満たされていたり、あるいは井戸に見えて実は巨大な何体生物で、近づいた者に食らいつくなど、なかなか油断のできない代物としてお目にかかるようです。もちろん、金貨を投げ入れると願いが叶う、というような無害な井戸もありますが。
年に一度くらいは、井戸さらいのために降りていって内側についた苔や汚れを取り除きます。砂漠地帯の井戸や地下水道などでは、溜まった砂などをかき出します。こういったタイミングでモンスターが住みついてしまった村人から退治の依頼を受けることも多いですね。
砂漠地帯に限らず井戸は生活の上でとても重要な位置を占めています。そのため、井戸を大切に扱います。戦争時においても敵方の手に渡ることがあっても、決して井戸を埋めたり毒を入れたりはしません。
また、井戸には井戸の神様が住んでいると考えることもあり、むやみに井戸を覗き込むことはタブーとされている場合もあります。
ただでさえ吸い込まれそうな暗がりをたたえているわけですから。どこか、別の世界へ通じていても不思議はありません。うっかり覗き込んで、何者かに呼ばれたりしないようにしましょう。