空飛ぶ絨毯とは、言葉通りに空を飛ぶ絨毯です。
絨毯といっても、現実世界で言えば畳・ござのような位置づけで、 その上でゆったりとくつろいだりする家具、というか調度品です。
大きさはだいたい、一畳から三畳ほどの広さです。 生地は薄手のものが多いようです。 ひとり乗りかせいぜい二人乗りですが、大人数用の大きな絨毯もあります。
空を飛ぶといっても、たいていが人間の腰から高くても、 肩までの高さをフワフワと浮く程度のようです。 進む速度は歩くのとそれほど変わりません。
絨毯はゆるやかに波打つ事が多く、絨毯の上では立たない方が賢明でしょう。 水上の小舟のようなものでしょうか。
魔法の進化によって絨毯の安定性も向上したのか、 恐るべき速度で飛行する代物もあります。
この場合は絨毯にしがみつく必要があるので、優雅に座っていることはできないでしょう。
家具・調度品というものは、あまり魔法を付与される機会が少ないようです。
魔法のテーブルや封印の壺など、他にもあるにはあるのですが、 付与される魔力は、それらの品が持つ機能を強化する程度です。
テーブルは、命じるだけで食事を出現させますし、 壺は悪魔や魂を入れておくことができます。 真実を映す鏡というものもあります。
絨毯が空を飛ぶ。 絨毯にはそんな機能をもともと持ち合わせてはいないはずです。
このあたりが非常にファンタジー的といえるでしょう。
絨毯の上というのは、食事をしたり、寝ころんだり、雑談したり。 そこにはいつもの日常が載せられています。 それが空を飛ぶわけです。
日常の光景がそのまま空を飛ぶ、宙に浮かぶという非日常。
しかしそれこそが、長年にわたって愛される魔法の品の魅力なのかもしれません。