リサレクションとは、死者を復活させる呪文を指します。
魔法とは自然の神秘を再現し、行使する技と言えます。同時に、自然の法則に逆らうための術でもあるわけです。そのなかでもとりわけ、永遠の眠りからの目覚めは重要な課題のひとつといえるでしょう。
しかし、それは決して簡単ではありません。何しろ、すでに魂は肉体を離れ、冥界や天上界といった異世界へ移動してしまっているからです。これを呼び戻すためには、非常に強力で大がかりな魔法の力が必要となります。
リサレクションの呪文の力の源の多くは、神や悪魔といった高位の存在がもたらす奇跡です。そのためこの術の使い手は、高位の聖職者か、異世界の王や上級の悪魔などとつながりを持つ魔術師と相場が決まっているようです。その彼らにしても、すべての死者を確実に復活させられるわけではありません。また、もし成功したとしても、復活した者がすぐに回復するわけでもないのが実情です。もとの活力を取り戻すには長い療養期間が必要となりますし、術者自身も失敗すれば命を落とすなど大きなリスクが存在している場合もあります。
とはいえ、蘇生の呪文は比較的多く登場します。大切な冒険仲間を失ってしまったときなど、残された者の頭に浮かぶのが、この呪文の存在である場合は多いはずです。
もちろん、それはなかなかうまくいきません。神殿であれば莫大な寄付を求められるでしょうし、遺体の状態も気になるところです。腐敗もそうですが、魂を呼び戻すことに成功しても器たる肉体が傷ついたままでは意味がないからです。そのため、この呪文は肉体の損傷をある程度修復する効果も備えています。術の構成としては、魂の召還と肉体の回復、両者の結合という複雑かつ強力な内容です。
さて、リサレクションですが、いくつかの類似魔法が存在しています。
まず、蘇生は蘇生でも、あくまでも一時的な復活でしかない術です。その死者がやり残したことを片付けるためや、最後の言付けを伝えるために用いられますが、考えように乗っては二度の死を与えるという側面も持つため、残酷な呪文かもしれません。
他には、現世での復活ではなく、生まれ変わりという形での復活を約束するタイプの術も見られます。似たようなものに、失った肉体の代わりにまったく別の器に魂を定着させるといったものもありますが、これはどちらかというと錬金術や付与魔術系統の範疇になるでしょうか。
どんな形の復活にせよ、気軽に用いて良いような魔法ではないことは共通しています。