暗殺者とは、指示された標的を殺害することを目的とした刺客です。
裏社会のなかで暗殺という汚れ仕事を稼業と定めた彼らは、自分のために標的を選びません。あくまでも請け負った標的の命を奪うことで報酬を得ている、いわば傭兵のようなもので、やはり同様に様々な事情があってその仕事に就いてます。盗賊ギルドの一員として働く者もいるでしょうし、暗殺稼業以外の生き方を教わらなかった者もいるでしょう。なかには仕事で得られる快楽の虜になってしまう暗殺者もいます。
彼らを雇うのは、邪魔者を排除することで権力などを手に入れようとする者たちで、たとえば国王、貴族、教団やギルドなどの組織です。
そういった人物に雇われるような暗殺者は、常に慎重かつ冷静でなくてはいけません。ささいなミスや状況の変化を見逃さない注意力も必要です。なにしろ相手はいつでも警戒の厳しい重要人物である場合がほとんどだからです。それも、自分が狙われていることを自覚している相手ならばなおさらでしょう。なにしろ、失敗すれば信用を失うだけでなく、命を落とす危険も高いからです。それに、成功したとしても依頼主が味方とも限りません。
そのためか、暗殺者たちの多くに完全主義的な性格をみることができます
こうした暗殺者の他にも、薬物や歪んだ教義、思想による狂信の遂行者としての刺客も存在します。指導者の命令や自分の信念のために死ぬことは崇高な目的であると考えていることが多く、厄介なのは彼らが退路を考えず、自分の命を捨ててくるという点です。死を覚悟した攻撃というのは、その無謀さゆえに対処できない場合も多くあるので、金目当ての殺し屋よりもよっぽど始末が悪いかもしれません。
さて、暗殺者の服装ですが、基本的には一般人と変わりません。黒いマントとフードやマスクで顔を隠した姿で登場することもありますが、これはせいぜい暗闇に紛れて行動するときくらいのものです。いかにも暗殺者らしい格好ではかえって目立ってしまうでしょう。たいていの場合、平凡な市民や商人といった姿に変装し、警戒の目を欺いて目標に接近していきます。ときには、使用人や出入りの職人などを装って何日も、または何ヶ月も前から接近して辛抱強く機会をうかがう場合もあるようです。
あるいは盗賊のように、身軽で目立たない格好で、人気のない頃合いを見計らって目標の居る建物などに潜入することもあります。このあたりは、それぞれの暗殺者にそれぞれのスタイルや美学があるでしょうが、とにかく、暗殺者は盾や重厚な鎧、重くてかさばる武器は選びません。好んで使うのは、細長い短剣や絞殺紐といったもので、飛び道具も吹き矢、投げ矢などです。もちろん、それらには毒が塗ってあることでしょう。
暗殺者の中には魔法を使う者もいますが、その場合は、使い魔を送りつけて襲わせたり、強力な呪いによってとり殺す、というやり方が好まれているようです。服装は他の魔法使いとそれほどの違いはありません。
暗殺者はよく、冒険者たちに返り討ちにされる雑魚としても登場しますが、ときには自ら冒険者となって裏社会から飛び出す者もいます。何らかの理由で仕事を失敗などして裏社会から追われる立場になるとか、なかにはこれまでの生き方を悔い改め、人生を再出発した暗殺者もいるようです。
冒険者として生まれ変わった暗殺者は、これまでの技能を活かして盗賊としての役割や、情報収集、正面突破が難しい場合の奇襲攻撃などを担当することが多くなります。力ずくで解決できない事件においてはきっと大いに活躍することでしょう。
アサシン(暗殺者)という言葉は、「大麻(Hashish)を吸う人」という意味のハシシン(Hashshashin, Hashishin)が語源で、暗殺者を仕立て上げるために麻薬を使っていたという暗殺者教団から来ている、と言われています。ですが、これは事実とそうでない言い伝えなどが色々と混じったエピソードのようです。