Whip
ウィップ（鞭）とは、牛を追ったり、馬に指示を与えたり、猛獣の調教、人への拷問などに使われる道具です。 目的に応じて様々な形状のものがありますが、多くの場合、長い紐状のものが登場します。
ファンタジー世界に活躍するウィップは、15~40cmほどの柄と、2mから長いもので10m近くにもなる鞭部分で構成されています。 鞭は根元ほど太く、先へいくにしたがって細くなっていますが、その先端部は小さなおもりになっているのが普通です。 鞭部分の材質は、革や動物の毛を編んだ紐になっており、柄と一体化して編まれているものも多く見られます。
ウィップは、勢いを付けて相手に叩きつけながら皮膚と肉を引き裂く武器として使うか、相手の手足や武器を絡ませて動きを封じるために使うかの、大きくこの二通りの用法となります。 後者の場合はこちらもそれ以上の行動が取れなくなるため、別の武器を用意しておくべきでしょう。 剣や斧と比べると射程距離も長く、対峙した際に先手を打つことができるため、機先を制するのに役立つかもしれません。
しかし、難点も多く見られます。 鎧に対しては極端に弱く、たとえば革鎧程度でもせっかくの威力は半減します。 比較的広い攻撃範囲を誇る反面、効果的に使うにはある程度の距離が必要となりますから、懐に飛び込まれてしまうと苦戦を強いられるでしょう。 また、自在に操れるようになるには訓練が必要で、これは鞭が長ければ長いほど扱いにくくなってしまいます。 うかつに振り回せば自分自身が怪我をしかねません。
このようにややクセのあるウィップですが、武器として用いるのもやはり正統派の戦士ではなく、盗賊や曲芸師くずれの戦士などトリッキーな戦法を好む者たちとなります。 （とりわけ官能的な魅力を持った女性キャラクターに好まれています） 他にも探検家や他の冒険者も予備武器として携行している場合は多いようです。 これは、ちょっとしたロープの代わりとしても扱えるため、戦闘以外の局面でも活用されるからでしょう。 映画『インディ・ジョーンズ』シリーズでもやはり、ウィップがかっこよく活躍していました。
ウィップには色々と変わった素材や構造で作られたものが登場します。 先端に刃や棘を備えて威力を高めたものや、革ではなく鎖を用いたもの、魔法の品として自動的に敵を追尾したり、絡め取る力を強化したものなどです。 致命傷を与えないという鞭の特性を排し、強力な電撃や炎熱などの魔力を付したものも見られます。 変わったところでは、柄などに針や短剣を仕込んでいるものもあります。
こうした特別製のウィップは、竜やヘビ、薔薇などがモチーフとして好まれており、そういった名前が付けられていることが多いようです、 冒険の途中で、竜や魔獣の尾または髭、棘を持つ植物などを意味する名を持つウィップを見つけたら是非、手に入れておきましょう。 それは特別製のウィップかも知れません。
楽器としてのスラップスティック、拷問用の九尾鞭／キャットナインテイル（Cat o' nine tails）、カウボーイの牛追い鞭、競馬などで見られる馬上鞭、昔の教師が持っていた教鞭などがあります。