Breast armor
ブレスト・アーマーとは,胸部を守るための防具ですが、重要度としてはヘルメットとさほど変わらないでしょう。なにしろ、胸や腹は激しい動きも少なく、攻撃の目標とされやすいからです。生きていくために必要不可欠な諸器官が収められているので、それらを傷つけられるわけにはいきません
「ブレスト・プレート」ともいい、プレート・アーマーやスーツ・アーマーの部分名称としても存在していますが、独立して流通することも多いようです。
体の形に合わせて加工された板金の鎧で、いくつかのプレートが組み合わされたものもありますが、基本的には一枚もののごくシンプルな鎧です。背面を守るプレートと一式になっている場合もあります。胸面プレートと背面プレートとは、金具や革ベルトによって固定して身につけます。
ブレスト・アーマーは、遊歴の騎士や冒険者たち、ときには山賊や海賊といったならず者たちの装備としてもみることができます。防御力と自由度の高さのバランスが、身軽に動き回る戦士にとってちょうど扱いやすいのでしょう。
金属鎧であることから、その防御力は確かなものがあります。しかし、これだけでは防御できる部分が限られているのも確かです。そこで、レザー・アーマーや、チェイン・メイルなど動きやすい鎧の上から重ねて着込むことで、運動性をそれほど損ねずに防御効果を得る、といった使い方もあります。(もっとも、ゲームなどではルールかされていないことも多いのですが)
鉄のプレートではなく、銀製のものやミスリル製のものは妖精や精霊の働きを阻害しない、ということで魔法使いたちが身につけることもあります。少ない防護面積を補うような魔法の力が込められた品もありますが、気軽に装備できる利点を逆手に取り、呪われたアイテムとしても多く存在しているようです。
現実世界では、ブレスト・プレートは古代から用いられる、一般的で、非常にシンプルな防具といえます。胴全体を覆う金属鎧が発達するもっと以前から、戦場に赴く兵士たちはブレスト・プレートを身につけていたようです。その素材には革や木材なども挙げられます。もっとも原始的な鎧のひとつだと思います。
古代ギリシア、ローマ時代にはポピュラーな鎧として、また、ロリカ(lorica)へと発展しながら最もポピュラーな鎧として扱われていました。
さて。ブレスト・アーマーの多くには文様など装飾が施されることが多くあります。戦士としての腕が上がって、金と名声を手に入れられたら、見栄えにも凝ってみるといいかもしれません。