Kris
クリスとは、波打った刀身とそこに浮き出た紋様が特徴的な短剣です。 全長は40~60cm、身幅3~5cmほどで、木や象牙、動物の骨などで作られた片手用の握りがついています。
うねった刀身とまっすぐな刀身のものがありますが、その身に浮き出た模様がもっとも目を引く特徴だと思います。 この模様は、固く脆い鉄と柔らかく粘りのある鉄を交互に重ねて鍛造して作り上げたものです。
美しいのは刃だけではありません。 柄や鞘にも意匠を凝らしており、そこには幻獣や神々の姿が彫り込まれたり、金銀細工を施されたりしています。
クリスは武器としてよりも、一種の護符のように扱われることもあり、魔を払う力があるとされています。 たとえば、邪悪な結界の魔法でも、弱い者ならばクリスを身につけているだけで打ち破ることもできるようです。
とくに天からの使者、隕石から取り出した鉄によって鍛えられたクリスというものもあるそうで、これなどは非常に強い魔力を持っていることが伺えます。
クリスは比較的、魔法の武器として登場することが多く、むしろ純粋な武具としての扱いは少ないといえます。 そのため、武具屋などで購入するというよりかは、他者から授けられる形で手に入ることが多いアイテムです。 もし、手に入れることがあれば、大切にしましょう。
クリスはマレーシアやインドネシアに伝わるもので、ちょうど日本の刀のように精神的な意味の込められた刀剣です。
実際にも儀礼的なものに近く、神聖な意味合いを持っています。 結婚式や公的な集会などには身につけなくてはいけないものですし、ときには、出席できない本人の代わりとして、その集まりに届けられることもあるようです。
また、クリスには性別があって、うねった刀身のものが女性、まっすぐなものが男性だと言われています。