魔法使いと普通の人


なぜ私には魔法が使えないのだろうか…

魔法使いと普通の人々との違いとは、魔法が使えるかどうか、という点にあります。

魔法使いが呪文を唱えると、さまざまな現象を引き起こすことができます。 しかし、普通の人々がそれを真似ても、普通は何も起こりません。 なぜでしょうか。

まず、魔法の素質や才能、特別な条件が必要な場合があります。 これはたとえば、 魔法を行使するには、ある一定の量以上の魔力をそなえていなくてはならない、 魔法使いの体質というものがある、神や悪魔と契約しなけばならない、 霊や精霊を見る力を持っている、 というような場合です。

魔法使いになるためには、呪文、動作、呪印、魔法陣、触媒の種類……これらを正確に覚えて使いこなすための修行を積まなくてはなりません。 これも普通の人々とは違う点です。

さらに、魔法には大切な精神集中という作業があります。

頭の中で魔法の発動に必要なものを揃える、という作業です。 呪文の意味、図形や文字などを強くはっきりと思い浮かべなくてはなりません。

極端に言えば、目を開いているときの景色を瞼の裏に映しだし、 なおかつ匂いや味を感じ、音を聞き、触ることができるようになるまで再現します。

ここまで行けば、起きながら夢を見ているようなもので、 精神的な世界へ足を踏み入れているとも言えます。

この作業は、体を動かすのとはまた違う種類の疲労を覚えさせます。 まだ未熟なうちは、そう何度も繰り返せるものではありません。

たとえ、呪文そのものが『力ある言葉』として魔法を発動させるだけの力があったとしても、 魔法陣や図形そのものに魔力が込められていたとしても、これでは道具を揃えただけに過ぎません。 術者がそれらの意味を把握してはじめて、魔法という力を行使することができるようになります。

よく魔術師たちが周囲の雑踏を意に介さず考え事をしたり、書物を読みふけっていたり、不眠不休で研究に没頭したりする姿が見られますが、 これらも日頃の修行の賜物なのかもしれません。度を超した集中力の持続など、おそらくは職業病のようなものでしょう。

ところで。魔法の中には、形だけ真似ればいいという術もありますし、 おまじないのように、効果はともかく誰にでも行えるものもあります。

才能や素質うんぬんを抜きにしてしまえば、 魔法使いと普通の人との違いとは、 やり方を知っているかどうか、魔法のかけ方を知っているかどうか、 というだけなのかもしれません。

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