ディスペル・マジックとは、魔法の効果をうち消してしまう術です。
この術は魔法をかけられた人物や場を対象とするものです。
空を飛ぶ魔法、姿を変える魔法、不可視の楯を創り出す魔法、増速減速自在の魔法、火炎の壁を創り出す魔法、眠りの魔法、麻痺の魔法、混乱の魔法、幻影を生み出す魔法などなど、 ほとんどの魔法に対して有効で、 有益な効果でも有害な効果でもたちどころに取り除くことができます。
ディスペル・マジックは、魔法使いが身につけるべき大切な術で、 比較的初歩の魔法といえます。
これは、強力な魔法を知っているだけではなく、 それらの魔法に対応する術を知っていることが、 魔法使いとして一人前の証である、と考えられているからです。
早い話が、自分でかけた魔法くらい自分で面倒見られるようになりなさい、ということでしょう。
万能的な印象のあるディスペル・マジックですが、 この魔法の弱点というか難点もありまして、 対抗する魔法が効果を現したあとでないと打ち消すことができないことです。
つまり、一瞬で仕事を終えるような魔法、 たとえば爆発や電撃、かまいたちを生み出す魔法に対しては、 意味がないということです。
さらにこれらの魔法によって負った怪我などを治すこともできません。
また、ディスペル・マジック自体も一瞬の魔法ですので、 これをかける際に、相手からのディスペル・マジックをかけられる心配もありません。
さらに、この魔法は術者の力量が大きく作用するようです。
熟練魔法使いの創り出した幻覚を、
見習い魔法使いのディスペル・マジックにて打ち消すことは至難の業となります。
逆に、見習い魔法使いが持てる力を振り絞って創り出した炎の壁を、 熟達した魔法使いが片手間にかき消してしまうこともままあります。
とはいえ、覚えておくべき魔法であることは間違いないようです。 他の強力な魔法を覚えることも大切ですが、 その上でこのディスペル・マジックを身につけておけば、 最高の切り札となるかもしれません。
世の中は広いものです。 数ある偉大な魔法の術の中には、 ディスペル・マジックさえも受け付けない魔法が存在します。
また、呪いの類にはまったく効かない、という報告もあります。