Herbalist
薬草師とは、魔法や神の奇跡に頼ることなく、病人または怪我人の症状からどの薬草が最も良い効果をもたらすかを見分け、それをどのようにして使うかを心得た治療師です。
薬草には似ていてもまったく違う効果を及ぼすものや、使い方次第で毒となるものも多く存在します。また、植物だけではなく動物の体の一部や鉱物を扱うこともあります。薬草師の仕事はそれらを調合し、薬を作ることです。
魔法に頼らず、と書きましたが、まれに呪術を併用する者もいるようです。彼らは呪医、あるいは呪術医と呼ばれます。ファンタジー世界では魔法的な効果を発揮する素晴らしい薬草も存在しますし、薬を調合する手順そのものが魔術的な意味合いを帯びることもありえるからですね。
薬草師は医者としての性格が強く、旅に出るとか、冒険者となるといったことはほとんどありません。むしろ、傷ついた冒険者が担ぎ込まれる先として、あるいは珍しい薬草を採るための護衛を頼む冒険の依頼人などというように、脇役として登場することの方が多いと思います。
もちろん、冒険者のなかには薬草師としての知識と技術をもった者もいます。薬草術の類は神々の奇跡や偉大な魔術とは違い、即座に効果を発揮することはありませんが、いざというときにはやはり頼りになるものです。これは、生き延びるための術としてではなく、生き延びたあとでこそ活躍する技能といえるかもしれません。
薬草師の普段の服装は一般人とほとんど変わりません。診療の際には、ゆったりとしたローブや白衣といった格好になるでしょう。宮廷に仕えたり、王族付きの医師としての薬草師もいますが、とくに大きな違いは見られないようです。
薬草師は人間だけでなく、多くの人間型種族でみられます。エルフなどはもちろん、一般に卑しい者たちだと思われているオーク族やゴブリン族にも、優れた薬草術を身につけた者がいるようです。
呪い師でもあり医者でもあることの多い薬草師は、部族内では比較的高い地位と発言力をもっています。
薬草の効能というものは、その多くが古人の経験から積み重ねた知識であり、知恵でもあります。怪我や病気をしても、すぐに魔法に頼ったりせず、ひとつじっくり治してみるのも良いかもしれません。