不老不死を得る方法を探して旅していた男が、とある山奥でひとりの仙人と出会った。
「なに、簡単なコトじゃ。残された寿命をまず半分まで生きるのじゃ。半分まで生きたら、そこからまた寿命までの半分を生きるわけじゃ。常に半分の寿命を残して生きていくことで、不死を得ることができるのじゃ」
「なるほど。不老を得るのはその応用ですね。つまり、年老いてしまう日までの時間を半分ずつ過ごす、と」
「そうじゃそうじゃ。お前さんはなかなか飲み込みが早いの」
ついに不老不死の秘術を手に入れた男は、何度も何度も仙人に礼をいい、喜んで山を下っていった。
しかし、ふもとの村までの距離を半分だけ進み、その地点から村までの距離を半分だけ進み、またその地点から村までの距離を半分ずつ進んでいた男は、永久に山道を抜けることはなかったという。