アーメットとは、頭部を完全に覆うことの出来る兜のひとつです。顎紐がなくとも脱げ落ちないようになっています。
鉄などの金属製で、頭を完全に覆うスカルに顔を覆うバイザー、やや広めにとったネックガードが備えられており、後頭部のあたりにラウンデル/ロンデルという、ボタンのような円盤が取り付けられています。
アーメットのバイザーには、雀のくちばしのように鈍く尖った形のものがあり、特徴のひとつとなっており、正面からの攻撃の威力を削ぐ役割ももっているようです。
バイザーに設けられたサイトは視界が狭く、周囲の視認性は悪いと言えます。そのため、様々な状況に機敏に対応しなければならない冒険者にはあまり好まれません。防御力だけを考えれば、兜の中でも最高の部類に入るのですが。
アーメットを用いるのは、プレート・アーマーやスーツ・アーマーを着込んだ戦士や騎士たちです。それ以外の甲冑、鎧を着てもおそらく似合わないでしょうし、防御性能と敏捷性のバランスも悪くなると思います。
そのため、ある程度発達した都市の騎士団や、軍隊の中の「その他大勢の兵士」の装備として登場することが多いようです。
限定的な役割で登場することの多いアーメットですが、戦士であるなら一度は全身を覆う板金鎧を着て戦場に立つ日があるかもしれません。さて、兜の中から見えるのは勝利でしょうか、それとも死でしょうか……
史実では、ヨーロッパの広い範囲で使われていましたが、やはり火器の登場によって姿を消していきました。
そこからさらに銃器が発達する時代になると、再び兜が使用されることになるわけですが、しかしそれはアーメットのような視界も狭く複雑な構造をもった兜ではありませんでした。