ファンタジー事典

開放型／半兜

ダイアデム

兜ではなく冠の一種で、はちまき状の帯で頭の後ろで縛って垂らすもの。王など高い身分の階層が身につけていたそうで、後に金属製になった。ファンタジー世界で登場する場合は、防具として金属プレートを備えたはちまきや、眉間、こめかみあたりを護る簡易な兜として登場することが多い。

額当て

抹額、額金と同じ。軍用のはちまき。額の部分をまもるために金属プレートを備えている。

ケトル・ハット

12世紀のヨーロッパ起源の兜で、丸いつば帽子型の兜。下級兵士や貧乏騎士、従者階級の兵士達に使われ、16世紀頃には火器や弓を持つ兵士に好まれた。扱いやすいため広く戦場に普及していた。現代においても秘境探索などで用いられている。

サーリット

15世紀なかごろ～15世紀おわりごろ。イタリア生まれの兜。丸みを帯びたスカルとスカート状のネックガードが特徴。半球系でネックガードが一体になったイタリア式、天辺がわずかに平らでネックガードがスカルをとりまく扇型のドイツ式などがある。どちらも鼻の上あたりまでを保護している。

バシニット

13世紀から15世紀にかけてヨーロッパにおいて広く用いられてた。水滴型のスカル、尖ったバイザーが特徴。このバイザーを丸めた形状の物がピコケット。14世紀から16世紀にかけて、グレート・バシニットと呼ばれるものも登場。これはネックガード備えたトーナメント用のもの。

ジスチャージ

シシャーク。13世紀からイスラム圏で用いられた水滴型の兜。オープンヘルメット。ロシア、東欧に伝わり、西欧にもたらされジスチャージと呼ばれた。このころにはさらに丸みを帯び、エビの尻尾のようなネックガードが備えられるように変化している。鎧の軽量化の時代とも噛み合い、17世紀にはヨーロッパ全土で見られるようになる。

バルビュータ

英語ではバーバット。イタリア生まれで14-15世紀に全盛を迎える。頭部全体をすっぽりと覆うように被る兜で、目鼻と口の部分はT字型、Y字型に開放されている。頭頂部は水滴型に近く上からの衝撃を受け流すようになっている。

密閉型／完全兜

アーメット

15世紀から16世紀にかけて広がった兜。頭部を完全に保護する。『すずめの嘴』とも呼ばれた。その名の通り、開閉式の広く短い嘴のような形状のバイザーが備わっている。バイザーには一文字状の切り込みが開けられていて、これにより視界を確保している。

グレート・ヘルム

ヘルムは、12世紀ごろに用いられた兜。天辺が平らでバケツをかぶるような形状。一文字状のサイト（のぞき穴）、口元には通気のためのパンチングや十字架をかたどった穴が設けられている。14世紀ごろになると、攻撃を受け流せるように天辺に丸みを帯びさせたりなどの工夫が見られるようになるが、その後はバイザーを持った兜に取って代わられるようになった。グレート・ヘルムはトーナメント専用の、装甲の分厚いもの。

クロス・ヘルム

16世紀から17世紀ごろのヨーロッパにおいて全盛。トサカ状の突起がある球形のスカル、短めのネックガード、バイザーを備えている。

バーゴネット

16世紀初頭に騎兵用に生まれた兜。サーリットから発展した。頭部全体を守る完全兜のひとつ。球形でトサカのあるスカル（兜本体）にはピーク（ひさし）とビーバー（面頬、顎当て）が一体化されている。人の顔を模した面当てを備えたものは「トーテンコップ」と呼ばれていた。

マスク

厳密には兜ではないが、顔の表面を覆う防具。防御のためというよりは変装や演出のため。面当てとしては、兜の一部として機能している。ファンタジー世界ではミステリアスな人物の装備品としてよく登場する。