サーリットとは、頭部だけでなく、バイザーを降ろすと鼻のあたりまで保護することのできる兜です。全体的に丸みを帯びていて、ゆったりと広がるネックガード、つまり首の後ろを保護する部分が裾のように広がる形状をしています。
丸みを帯びた半球形のスカル(頭を覆う部分)の頭頂部にはトサカ状の折り目がつけられています。これは他の兜にもみられるように、上からの衝撃や斬撃を脇へ逸らすためのものです。
視界はバイザーや面に横一文字に開けられたスリットによって確保されています。なかにはスリットではなく、目の大きさ程度にまで広めになっているものもあります。
サーリットは構造上、耳を覆ってしまう形状をしているため、長い耳をもつ種族には好まれていません。人間族かドワーフ族あたりの持ち物になりますが、そのあたりも関係しているのか、材質としても鉄などの金属が一般的です。
クロス・ヘルムやグレート・ヘルムのように顔を密閉しないための気軽さからか、傭兵や冒険者の戦士に広く使われています。オープンヘルメットタイプの兜に次いで見かける機会が多いようです。金属鎧とあわせて着こなす者がほとんどですが、なかには体は革鎧などの軽装でまとめておいて、このサーリットを装備するというスタイルの戦士もいます。
魔法の品としてはあまり発展しておらず、とくに目立ったアイテムは見かけられません。
現実世界ではサーリットは15世紀後半に流行していました。生まれはイタリアですが、ドイツにおいても形を変えながら発展しています。バイザーの有無や装飾などいろいろなバリエーションが存在しています。そしてサーリットは、16世紀、17世紀にかけて活躍するクロス・ヘルムへとさらなる進化をしていきます。