多重なる世界

異世界

ファンタジー世界には多くの世界が存在し、重なり合っています。ここでの異世界とは、その作品世界において通常の移動手段ではなく、魔法などの超常的な手段によって行き来できないような別の世界を指します。天界、天上界、地上界、精霊界、妖精界、冥界、魔界などが挙げられます。(作品世界によって差異はあります)

現実における「異世界」との違いは、ファンタジー世界に住む人々は、それを事実として受け止めている点です。実際に、それぞれの世界への出入り口が存在し、人や物や霊や何らかの力が行き来しています。

この異なる世界の重なりは、時代によっては世界の結びつきが弱くなったり、疎遠になったりすることもあるようです。

とくに異世界として登場する機会の多いのは、魔界、精霊界、天界(神界)などでしょう。これらは召喚魔法や、神聖魔法などを行使する場面に関わっています。

異世界そのものが冒険の舞台になることは少ないですが、登場人物が何らかのきっかけで迷い込む場合もあります。

以下にそれぞれの世界の簡単な特徴と説明を記しておきます。

天界

天界は神々の済む世界です。ここでは神々が、ときおり地上界を含む他の世界へも干渉しつつも、彼らの作った人間たちと同じように暮らしている……とされています。

人間の側から、この世界へ干渉する方法はごく限られています。神官や白魔術師たちの祈りの言葉が届いたとき、彼らは自身が持つ力のほんのごく一部を地上へ伝達してくれるのですが、これこそが神聖魔法や奇跡と呼ばれるものです。

天上界

天上界は天界に近い世界で、天界に住む神々の領地があり、そのしもべや幻獣、あらゆる生き物の上位種が住んでいると言われています。

こちらも天界と同様、地上界からは行き来しづらいのですが、勇敢に戦った戦士や英雄、あるいは神に近い魂を得た者は死後、冥界ではなくこの天上界に召されることがあるようです。

天界と天上界には区別がない場合もあります。

冥界

地上界の生物が死んで肉体が滅んだあと、その魂が向かう場所とされる世界です。ここでは死者たちがめいめいの時間を過ごしながら、次の世界への転生を待っているとも言われています。

少なくとも死ねば行ける世界ですが、生きたまま出入りするともなればそれは死霊術師の範疇の仕事になるでしょう。

この冥界の奥深くにもさらに別の世界があるとされていますが、詳しくは分かっていません。

精霊界

精霊界は精霊の住む世界で、地上界の自然万物の流れを支える基盤でもあります。

直接、行き来できるものはごくごくわずかなため、精霊たちがどのような姿形で、あるいはどのような仕組みで存在するのかは分かっていません。

一説によれば、水の精霊界、火の精霊界というように、それぞれの精霊たちの世界が別々にあるとも言われています。つまり自然万物に宿る力の数だけ、その世界が存在するというわけです。はたして水の精霊界に行ったとき、訪問者は呼吸ができるのでしょうか。あるいは、風の精霊界では訪問者は姿を留めておけるのでしょうか。

直接の訪問はできなくとも、精霊界は地上界とごく近い場所に(あるいは完全に)重なっているため、その存在を感じ取れる者はいます。エルフたちがその代表ですし、人間の中にも優れた精霊使いたちもそうです。もっとも、精霊たちと密接に意志を通じ合えるようになるには長い修行が必要となるでしょう。

妖精界

妖精界はエルフやドワーフ、ゴブリンたちがもともと住んでいた世界です。

彼らは太古の昔に地上へやって来たわけですが、もちろんこの世界にずっと住んでいる妖精、妖魔もいます。

地上界で死んだ妖精は、再び妖精界へ帰るとされています。古いエルフ族などは、大きな戦災や世界の破滅を避けて自力で戻ることもあるそうです。

ふいに迷い込んでしまうことが多く、比較的、往来のしやすい異世界なのかもしれません。

魔界

魔界は魔神、魔人、悪魔と呼ばれる存在が暮らしている世界です。天上界で罪を犯した者の監獄だという説もあります。妖精界の神秘性とはまた違った個性のある世界です。

ふとしたきっかけで地上界との扉が開いてしまうという点で、妖精界と魔界はよく似ています。深い森の奥、廃墟と化した館、古びた井戸の底。もちろん魔法の力によって扉を開くこともできます。

地上/現界/物質界

主に人間族が活動する世界ですが、それ以外にも様々な種族が暮らしています。すでに神は去り、多くの不幸を生み出しながらも希望と活気に満ちた世界です。

魔神や精霊、妖精たちにとっては混沌として住みにくい異世界だと思います。

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