シーフとは、盗人、つまりスリや空き巣、追いはぎ、夜盗といった泥棒家業に就く者を指しますが、ここでは冒険者として盗賊技能を用いる職業として扱います。
シーフの役割は偵察や潜入といった隠密活動が主たるものです。
彼らの多くは錠破りや忍び足、尾行などの技術を身につけており、市街での冒険においては事件の捜査や人や物の捜索に活躍します。また、盗賊ギルドなどの非合法な組織などともつながりを持っている場合もあり、貴重な情報を入手するにも役立つでしょう。
さらに、シーフは迷宮探索の仲間としても欠かせません。隠された入り口を見つけ、宝箱に仕掛けられた罠や鍵を安全に解除できるのは彼らしかいないからです。どんなに屈強な戦士や高位の魔法使いがいたとしても、たったひとつの罠で一行が全滅してしまうことはよくある話のひとつとなっています。古代の遺跡の情報を手に入れ、危険に満ちた探索をこなし、街に帰還して手に入れた品々を売りさばくまで、シーフが活躍する場面は多いでしょう。
一方で、戦闘では派手な活躍はしないようです。というのも、彼らの活動に必要なのは身軽で音を立てず、作業の邪魔にならない武具であり、怪物を退治するための武装ではないので、これは当然といえるかもしれません。そのため、革の鎧に短剣、小剣の類いか、小型の弩弓といった装備になります。
彼らの戦闘方法は、不意打ちや敵の攻撃をかわしながら急所を突くというスタイルが多く、敵味方が入り乱れたり、圧倒的な破壊力をもった魔法生物や魔獣などとの戦いは苦手です。もっとも、戦士とはまた違った、身の危険を察知する感覚は鋭いですし、盗賊らしい身のこなしでどんな困難な状況からも生き伸びようとするはずですが。
通常の戦闘では、前線で体を張って戦うのは戦士たちにまかせ、後方から飛び道具などで援護するか、抜けてきた敵を相手にするにとどまるでしょう。
さて、シーフにとっての本当の武器といえば、やはり盗賊の七つ道具でしょうか。彼らは常にロープ、合い鍵、手鏡、油壺、くさび、工具などの道具を持ち歩き、冒険のさなか様々な状況でそれらを駆使し、盗賊技能を発揮します。
ただ、もうひとつの弱点でもあるのですが、どんなに優れた道具であっても、魔法の罠や鍵には手も足もでない場合も多いようです。
知恵と機転と度胸と、それから確かな技術。それが冒険者として生きるシーフになくてはならないものでしょう。それさえあれば、やがて訪れるどんな運命の扉も、ちょちょいのちょいでこじ開けてしまえるはずです。彼らならきっと。